免疫?リウマチ内科ではどんな疾患を診療するの?
私たちが診療するのは、大きくリウマチ性疾患と膠原病の2つで、またIgG4関連疾患などの免疫が関連する希少疾患も診療しています。詳しくは診療案内参照してください。
リウマチ性疾患って?
どうやって診療しているの?
リウマチ性疾患とは骨や関節?筋肉に痛みやこわばりを生じる疾患の総称です。主に患者さんが「関節や筋肉が痛い」という主訴で私たちの外来を受診された際に、その原因を調べ、その原因に対し内科的な治療を行う役割を担っています。関節や筋肉が痛くなる原因(リウマチ性疾患)は、関節軟骨の摩耗や骨粗鬆症といった加齢性の変化を含めさまざまですが、その中で免疫が関連し治療が必要な病態を見分けていくことになります。特に関節リウマチという病気は、たくさんの関節が持続性に腫れて、放っておくと関節がどんどん壊れていってしまう病気ですので、関節の破壊が進む前に早期に診断し治療介入する必要があります。
リウマチ性疾患を正しく診断するためには体表面から関節?筋肉を診察する技術と、単純レントゲン写真やCT、MRIなどの画像検査で骨や軟骨、筋肉の状態を評価する技術が必要です。また最近では関節エコーという新しいツールが登場し、関節の評価のみならず関節エコーガイド下に関節穿刺や関節注射を行っています。整形外科医に必要な能力に通ずるところも多く、私たちリウマチ内科医は手術は行えないものの、整形外科医のように診察や評価を行う”整形内科医”に近い存在です。ただ手術ができない反面、私たちは薬物療法を得意としています。関節リウマチに対する薬物治療の進歩は目覚ましく、現在では非常に多くの治療選択肢があります。ただそれらを患者さんの病態や併存症に合わせて正しく使い分け安全に副作用のリスクを管理していくには、リウマチ内科医としての高度な専門性と豊富な臨床経験が必要です。
じゃあ膠原病は?
膠原病とは、免疫の異常によって全身の臓器に炎症が起こり機能障害をもたらす一連の疾患群です。一部の疾患は関節や筋肉の痛みやこわばりも伴うのでリウマチ性疾患とオーバーラップしています。患者さんに「不明熱」と呼ばれる原因不明な発熱が続き、何らかの臓器障害を伴っていた場合、その原因精査として紹介されてくるケースが多いです。しかし、発熱や臓器障害をきたす原因は膠原病以外にも感染症や悪性腫瘍などたくさんあるため、さまざまな疾患を鑑別?除外した上で膠原病を診断する必要があります。また現代医療において内科系専門は消化器、循環器、呼吸器など臓器別に分かれていますが、膠原病は全身の全ての臓器に炎症をきたす可能性がありますので、私たちは臓器横断的に診療する必要があります。
幅広い鑑別診断と臓器横断的な診療を要求されている点は、総合診療科に通じます。ただ免疫?リウマチ内科の特色としては、免疫異常に起因する膠原病に対して、専門的な免疫抑制治療を実施できるいう点です。ハイリスク薬である高用量のステロイドや免疫抑制剤を大胆かつ慎重に使いこなすのは、膠原病専門医として腕の見せ所になります。
免疫?リウマチ内科の強みは?
今までの話を総括すると免疫?リウマチ内科で得られる診療能力は以下になります。
- 関節や筋の診察手技および画像診断 (関節エコーガイド下穿刺を含む)
- 幅広い鑑別診断と臓器横断的な評価
- 免疫抑制治療
また免疫?リウマチ内科学は臨床科目の中ではマイナー分野ですが、免疫学は基礎医学における王道でメジャー分野です。私たちの分野は、臨床と研究の距離が比較的近いのも特徴です。すなわち日常診療で得た疑問を、研究室で解決し、臨床現場へ還元する「臨床免疫学」を実践することができます。さらに札幌ならびに北海道の地域医療から研究活動を通じて世界と繋がることができ、私たち免疫?リウマチ内科学では海外学会での演題発表や若手研究者の海外留学を積極的に支援しています。
さらに、免疫?リウマチ内科学教室では、医師の「働き方改革」に則り、教室員のワークライフバランスを重視しています。海外において免疫?リウマチ内科は女性医師から非常に人気の高い専門科であり、家族プランやプライベートの時間を大切にしながら、それぞれのキャリアアップを実現させることができます。
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逆に弱みは?
内科系なので手術ができないこと。また内科系専門科の中でも内視鏡検査や心臓カテーテル検査などの手技がないので、手技能力を中心に獲得したいと考えている人には不向きでしょう。リウマチ性疾患と膠原病は慢性疾患なので患者さんとは生涯を通した長いお付き合いとなり、全人的な関わりができるのも魅力ですが、逆に急性期疾患を診たい人にはマイナスポイントかもしれません。ただ、膠原病は急性呼吸不全や急性腎不全などの重症臓器病変で発症することがあり、急性期治療や集中治療管理が必要になることも珍しくありません。
つまり免疫?リウマチ内科の魅力って?
総合診療科と整形外科を合わせたような、あやゆる臓器と筋骨格系を診察し、幅広い内科疾患とリウマチ性疾患を診断できるジェネラリストの側面と、希少難病である膠原病を正しく診断し、ハイリスクな免疫抑制治療を大胆かつ慎重に使いこなすスペシャリストの側面を合わせ持った臨床家になれる。手技には乏しいけれど、その代わり臨床免疫学の研究を行うことで自分をさらに深めることができ、研究を通じて世界と繋がることができる。基本は慢性疾患が対象なので、ワークライフバランスが取りやすく女性医師も活躍しやすい分野。だけど、ときどき膠原病が重症化し急性期対応や集中治療管理が必要になる(それも医師としてのやりがい)。