外傷、外傷後の変形

熱傷(やけど)、切り傷(切創)、擦り傷(擦過創)などの体の浅い部分までの怪我や傷をすべて扱っています。
特に事故などで顔に怪我をした場合、傷をできるだけ目立たなくするためには、一番最初の治療が重要です。
また、鼻骨や頬骨などの顔の骨折により、鼻が曲がったり、頬がへこんでしまった疾患の治療も行っています。
他にもけがにより傷跡が目立ったり、ひきつれを起こした後でも、できる限り目立たないように治療を行います。 

熱傷(やけど)

熱傷創の状況により、外来通院または、入院管理で治療するか、軟膏等で治療するか、手術を要するか等的確に評価して対応します。
広範囲熱傷や重症患者に対しては救急部と連携して治療を行っており、コンスタンチン君に代表されるようにロシアからの重症患者の治療実績もあります。
やけどの原因 やけどは予防できる疾患です!
やけどは日常生活において最も多い外傷の一つです。
みそ汁やカップラーメンなどの熱い液体、ストーブやアイロンなどの熱した固体、また、1歳前後のお子様では炊飯器や加湿器の蒸気に手をかざしたりポットのお湯を撒かしての受傷も少なくありません。
これらの電気機器やコードは、お子様の手の届かない所に置くように注意が必要です。
また、冬は湯タンポによる低温やけどが増えています。
低温やけどは、深いやけどのことが多いので、小さな範囲でもすぐに病院を受診してください。
やけどをした時の
対処法
素人療法は危険です!
受傷時には、無理に衣服を脱がず、水道水などの流水を衣服の上から直接大量の水で流して下さい。
冷やすというよりは、静かに水で洗い流すことが大切です。
20分位行い、水ぶくれは出来るだけやぶらずすぐ病院を受診してください。
アロエや市販薬を使用する患者さんがいますが適切な治療を行わないと傷を悪化させる可能性があります。
長時間氷等で冷やすことは、かえって患部の血流を障害し、治癒の遅れにつながるので、お勧めできません。

症状と治療

やけどは、深さによりⅠ 度熱傷、Ⅱ度熱傷(浅達性Ⅱ 度熱傷、深達性Ⅱ 度熱傷)、Ⅲ 度熱傷に分類されます。
Ⅰ度熱傷(EB)
皮膚の赤みのみで、傷跡を残さずに治癒します。
典型例
  • 1度熱傷の写真 
    受傷時

    皮膚の赤み、痛みはあるが、
    ステロイド軟膏の塗布で翌日には軽快した。

Ⅱ度熱傷
皮膚の真皮層までのやけどで、浅達性と深達性の二つに分類されます。 
?浅達性Ⅱ 度熱傷(SDB)
真皮層の浅い部分までのやけどです。
水ぶくれ(水疱)ができますが、2週間以内に治癒し、目立つ傷跡はあまり残らないことが多いです。 
治療例
  • 浅達性2度熱傷の写真  
  • 浅達性2度熱傷の写真  
?深達性Ⅱ 度熱傷(DDB)
真皮層のより深いところまで及んだやけどです。
水ぶくれができ、傷が白色になります。
治癒に3~4週間を要し、傷跡を残す可能性が高くなり、手術が必要な場合があります。 
Ⅲ 度熱傷(DB)
皮膚全層および皮下脂肪まで及んだやけどです。
傷が白色に変化し、触っても痛みを感じません。
手術により壊死した組織を切除する必要があります。 
治療例
  • 3 度熱傷(DB)の写真

凍傷(とうしょう)

雪かきなどで長時間寒い野外にいた場合、手や足の指先が凍傷になることがあります。
低温やけどと同じで深いことが多いので、すぐに病院を受診して下さい。
治療は、やけどと同様ですが、当施設ではプロスタンディンE1の動注療法などの専門的治療も行っています。  
治療例
  • 凍傷の画像

切り傷(切創)?擦り傷(擦過創)

形成外科は、怪我治療の専門家です。
傷跡がなるべく目立たないように、様々な技術で治療をしています。
外傷は、最初の治療が一番大切ですので、適切な病院を受診しましょう。  
治療例
  • 切り傷(切創)?擦り傷(擦過創)の画像

耳介血腫

慢性的に耳を擦ったりぶつけたりするスポーツ競技者など(柔道、レスリング、ラグビーなど)で皮下に血が溜まり耳が腫れた状態です。
繰り返すと耳の変形を来たします。
治療は、皮膚を切開して血腫を取り除くと同時に1週間程度の圧迫療法が必要です。 
治療例
  • 耳介血腫の画像

顔面骨骨折

  • 顔面骨骨折の画像

症状

スポーツ、転倒、交通事故により、鼻骨や頬骨(ほほ骨)や上顎骨(上あご)などを骨折することがあります。
骨折を治療しないと、歪みが残ったり、頬が凹んだりするだけでなく、鼻血が長く続く、目の動きが悪い、ものが二つに見える、口が開けられない、ものがかめない、かみ合わせが合わない、頬の知覚がおかしい、などの症状が残ることがあります。 

治療

手術で骨折した骨を元の位置に戻す(整復)が必要になります。
鼻骨骨折
局所麻酔でも全身麻酔でも可能です。
鼻腔内に術後5日程度ガーゼを詰め、その後ギプスによる骨折部の保護を1ヵ月程度行います。 
治療例
  • 鼻骨骨折の画像
頬骨骨折
治療例
  • 頬骨骨折の画像

外傷の後遺症

けがややけどが治った後も、通常数ヶ月は赤みや硬さが続きます。
その後白く目立たない傷跡になっていきます。
しかし、傷の状態や治る経過、体質などによって、傷跡が盛り上がったり(肥厚性瘢痕)、ひきつれ(瘢痕拘縮)など見た目に目立ち、また痒みや痛みを起こすことがあります。
当施設では、傷跡が出来るだけ目立たないような後療法や手術を行っています。

肥厚性瘢痕、ケロイド

傷跡が、赤く盛り上がって目立ってきたり(肥厚性瘢痕)、傷跡が周囲にも拡がっていく(ケロイド)ことがあります。
ケロイドは、耳垂(耳たぶ)、前胸部、上腕、恥骨部などに好発し、痛みや痒みなどの症状を伴います。
耳垂はピアス、恥骨部は帝王切開などによって生じます。
治療は、ステロイド含有テープやステロイドの局部注射による保存的治療と手術による治療があります。
手術を行った後も、再発を予防するために、ステロイド含有テープなどによる同様の後療法を行います。
手術後の電子線照射の併用も効果的です。
 
典型例
  • ケロイドの典型例の画像1

    前胸部のにきび跡から発生したケロイド

  • ケロイドの典型例の画像2

    ピアス着用後生じたケロイド

瘢痕拘縮(ひきつれ)

傷跡は、ひきつれ(瘢痕拘縮)を起こすことがあります。
瘢痕拘縮を起こすと、指などが伸ばせなくなったり、傷跡が目立ったり、小児では発育障害などの機能的な後遺症や、痛みや痒みなどの知覚障害を起こすことがあります。
手術のあとに傷跡が盛り上がって痛みやかゆみがある方は早めに相談ください。
 
治療例
  • 瘢痕拘縮(ひきつれ)の画像
足背熱傷瘢痕拘縮
治療例
  • 足背熱傷瘢痕拘縮の画像
  • 足背熱傷瘢痕拘縮の画像

熱傷による脱毛

治療例
  • 熱傷による脱毛の治療例1
  • 熱傷による脱毛の治療例1

最終更新日:2018年03月06日


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